”歩く”という動作は、あまりに日常的な動作なので、あらたまって”歩き方”といっても、とくに関心が無いのは当然と思います。しかし、姿勢や歩行動作は、それぞれの人間の内面までも表現する無意識的なメッセージであります。
元気ではつらつとした歩行」「背筋がピンと伸びて、颯爽とした歩行」「肩を落とし、うつ向きかげんでの歩行」・・・等その人の無意識な歩き方に、健康状態を押し計ったり、心の悩みを読み取ったり、また、充実し希望に満ちた心の内を感じとるなど、顔の表情と同じように、心身の状態を読みとることが出来ます。
このように私たちの無意識な”立ちふるまい”は、外部の人々に対する”ボディー・ランゲージ”(身体表現による意思の伝達)といえます。そればかりではありません、姿勢や美しい歩行からは、知性や教養、社会的な地位、職業から家柄まで感じ取らせるのです。
ともあれ、歩くということは、人間の基本的な動作であり心身におよぼす影響も大きく、おろそかにはできないことです。しかし、ほとんどの方が、どういう目的のときには、どんな歩き方が良いかという目的に適した要領をしらないのが現状と思います。
「歩き方教室(BSA)」というタイトルから想像することは、一般的な健康対策としての”ウォーキング”ではないかと思います。あらためて”歩き方”と言う以上は、日常の無意識に行っている歩行と異なり、ひとつの目的(ねらい)をもった歩行ということです。一般的な目的歩行は、
健康のための歩行(運動不足の解消、成人病予防、老化防止 など)
スポーツや芸能のための歩行(競歩、ダンス、演劇、能 など)
儀式のための歩行(観兵式、入場行進、パレード など)
長距離移動のための歩行(旅、遠足 など)
身体表現のための歩行(バレー、ファッションモデル など)
以上のようなことが考えられます。BSAの「歩き方教室」は、以上の分類のどこにも入らないものかも知れません。あるいは、いくつかの目的をまかなう歩き方ともいえます。それは、スキー上達というねらいを持った歩き方です。
(平沢 文雄)
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