普段私たちは、自分自身のからだのことをあまり自覚せずに生活しています。
局所的に、頭が痛い、胃が痛いなどと自覚できる症状がある時には気にしますが、
健常な状態では気にもせず毎日を過ごしてしまいがちです。
健康はなによりも大切だという意識はあっても、日ごろからからだを気遣い、からだのためにトレーニングを実行している人間は希ではないでしょうか。
普通、少しくらいからだに不調があっても、なにも手だてをせずに過ごしてしまいます。とくに、内臓や諸器官の調子は、気にとめることはあっても、骨格や筋肉などの運動機能にかかわるトレーニングはおろそかにしがちです。これでは衰えるという意識がないままに気付いたときには、心身ともに老人になってしまいます。
スポーツは、自分の身体的な衰えを気づかせる面において、きわめて重要なことです。スポーツに趣味をもたない人は、とかく自分自身の体力の衰えを自覚できないのではと思います。
私は、スキーという趣味をもっております。いや仕事といっていいほど時間を費やしております。運動の原資は体力ですから、スキーに必要なからだの機能の衰えを、何よりも気にします。スポーツをやる以上は、いくつになっても高みを目指したいと思っておりますから。
その思いがあればこそ、アスリートのようなトレーングは無理でも、少しでもからだの機能を落とさないように気遣って、からだの手入れをしております。
脳、血管や内分泌系の衰えは仕方がないにしても、からだを動かすための筋力くらいは維持につとめております。
頭に髪はなくなり、顔にはシミやシワがあらわれ、目も歯も老いた、間違いない老人ですが、立ち姿勢と歩き方だけでは、自分でも自慢しています。
人間は、内面も大切ですが、外見も大切です。
内面(精神面)は、直接お会いして話さなければ判断できませんが、外見は見ただけで判ります。すっきりした立ち姿勢で美しく歩いている姿だけでも大切なことです。
「平沢さん、おいくつになりました?」と良く聞かれることがあります。「どうしてですか?」「姿勢がいいですね〜」といわれます。私にとって大変うれしいことです。しかし、内心それは当たり前のことという思いがあります。
なぜかといえば、日ごろから、もっとスキーが上手になりたいために、それなりの訓練をしているからです。
日ごろから、からだを気遣いそれなりの”手入れ”をしていれば、歳を重ねても、外見くらいは若く見せることができます。そのくらいの努力は、自分自身のためにやらなければならない老人の義務ではないでしょうか。
(平沢 文雄)
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